刑事裁判に参加することで、被害者遺族は、検察官側の席に座り、被告人や証人に質問をすることや、意見を述べることができます。
加害者が嘘をついています。刑事裁判でその嘘をあばくことはできますか?
刑事裁判は残念ながら被害者のための裁判ではありません。加害者を守るためのに刑事裁判があるのではないかと感じる場面も珍しくありません。また、刑事裁判では、聞きたいとことや言いたいことを自由に言えるわけではありません。
嘘を暴くことは、本来は、警察官や検察官が行うべきことであり、被害者にその権利は与えれていません。
また、加害者を嘘をついても、それが、刑事裁判にとって重要ではない場合、全く追及されない場合もあります。
刑事事件では、被告人には黙秘権が保障されており、何も言わずに黙っていることも可能です。被告人が事実とは異なることや言いたいことだけを言って黙っていても、そのこと自体を処罰することはできません。
捜査機関にとって、重要なことは、被告人の供述に左右されない証拠を集めて、犯罪が行われたことなどを証明することです。
刑事裁判の仕組みをある程度理解して、できることとできないことの区別がつかなければ、検察官がやろうとしないだけなのか、そもそもできないことなのかが分からず、不信感がつのり、信頼関係も崩れていってしまいます。
支援弁護士と十分に打ち合わせを行い、どのようなことがしたいのか、それは刑事裁判で実現できることなのかを理解し、裁判所や検察官に意見や要望を適切に伝えること重要です。
たとえば、加害者が、事故直後、被害者を助けようとしたが、被害車両の損傷が激しくドアが開かなったか、あるいは気が動転していて開けることができなかったと供述しているが、車両のドアは、簡単に開く状態だった可能性がある場合に、刑事裁判でその点が問題になっていないにも関わらず、裁判中に、加害者が本当のことを言うまで追求し続けることはできません。
事件に関係することではあるので、いくつかの質問はできるかもしれませんが、被告人が何らかの回答をすれば、それが被害者遺族が考える回答(本当は被害者を助けようとは思っておらず、ドアを開けようとしなったという回答)とは違っていても、それ以上に追及することは、ほとんどの場合、裁判官に止められてしまいます。
このような場合、諦めるのではなく、なぜその点が知りたいのか、それが異なることで、被害者遺族にとって何が変わってくるのかを検察官や裁判官が理解できるように、意見として述べることができます。
不十分な制度の中でも、出来る限りのことをしていくためには、支援弁護士や検察官との相互の信頼関係がとても重要です。そして、信頼関係を築くためには、裁判制度に関するある程度の理解が必要になってきます。
交通事故の際のドライブレコーダーの映像を確認することはできますか?
警察が証拠として押収したドライブレコーダーの映像を捜査が終了する前に見せてもらう権利はありません。
これは警察が押収した証拠全般にいえることでもあります。
しかし、捜査に支障がない場合は、確認できることもあります。まずは、なぜ確認したいのかを伝えることが重要です。
捜査終了後、ドライブレコーダーは持ち主に返還されることもありますが、裁判が終了するまで返還されない場合もあります。
刑事裁判では、ドライブレコーダーの映像が写真として提出されることもあり、映像そのものを確認できない場合もあります。
その持ち主が目撃者などの第三者の場合は、任意の協力が得られれば、その映像を確認できる場合もあります。
交通事故の加害者が不起訴になりました。警察が調べた事故時の状況などは確認することができますか?
不起訴になってしまった場合でも、警察が作成した実況見分調書など一部の資料は閲覧することができます。
支援の対象について
どのような事件の被害でも支援してもらえますか?
残念ながら以下のような事件は、支援ができない場合があります。
・加害者が誰か分からない事件
・加害行為について証拠がない事件
・損害が生じたことが証明困難な事件
・時効期間が完全に経過してしまっている事件
また受任できる件数には限度があり、ご相談時の状況により受任ができない場合も御座いますので、ご了承下さい。